パートを辞めると決めた後、最初にするべきことは、上司へ退職の意向を伝えることですね。
でも、実際には退職の意向をいつまでに伝えたらいいのか、悩む方も多いと思います。
よく「法律では2週間前に伝えれば大丈夫」と聞きますが、本当に自分の状況にもそれが適用されるのか、不安になることもありますよね。
退職をスムーズに進めるためにも、適切なタイミングを知っておくことはとても大切です。
実は、パートを辞める際には、退職予定の1ヶ月前に伝えるのがベストだとされています。
法律上、2週間前でもOKとされていますが、このルールが適用される人とそうでない人がいるため、「パートだから2週間前で大丈夫」と安心するのは少し危険です。
2週間前だけに頼ってしまうと、希望する日に辞められない可能性もありますので、注意が必要です。
この記事では、パートを辞めたいときに伝えるべきタイミングや考え方、法律の規定についてわかりやすくまとめています。
実際の人たちがどう対応しているのかも調べてみたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
この記事でわかること
パートを辞めるときに伝えるべきタイミングは?
法律で定められた2週間前通知のルールとは?
2週間前でなくても辞められるケースもあるの?
スムーズに退職するためのコツは?
円満に退職するためにも、この記事でしっかりルールを理解しておきましょう
パートを辞めたいとき、いつまでに伝えればOK?
先ほども触れましたが、パートを辞める際に上司に伝える最適なタイミングは、退職する1ヶ月前です。
法律の詳細については後ほど触れますが、基本的に1ヶ月前に伝えておけば、退職に関するトラブルはほぼありません。
後任の選定にも時間が必要なので、できるだけ1ヶ月前には伝えるのが良いですね。
1ヶ月の余裕があれば、必要な手続きもスムーズに行えますから、安心です。
1ヶ月前に伝えておけば、「直前での報告」をされることに対する心配もなくなります。
「パートを辞めたい」と思ったら、退職希望日を1ヶ月以上先に設定して、準備を進めましょう。
パートのお仕事を辞めたい時、知っておきたい法律のこと
いざ「もう辞めたい」と思った時、すぐにでも退職したいと思う方や、どういう条件で辞めることができるのかを詳しく知りたいと思う方もいらっしゃるでしょう。
「実は2週間後には辞めたいな…」と考えている方に向けて、法律の面から退職可能なタイミングについてお話ししましょう。
雇用契約や労働規則をチェック!
まず最初に見てほしいのは、ご自身の雇用契約や労働規則です。
雇用契約書や労働規則には、退職に関する規定が記されていることがありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
例えば、「自己都合での退職の場合、退職希望日の14日前までに会社が定める方法で通知すること」というような記載があるかもしれません。
これは、退職希望日の14日前までに通知すれば、退職できるということになります。
労働規則に「退職する際には、○ヶ月前(○日前)に通知しなければならない」と書かれていることもあります。
「パートにも労働規則があるの?」と思われるかもしれませんが、一定の条件を満たした会社では労働規則があります。
もし雇用契約や労働規則に退職についての規定があれば、事前にチェックしておくと心強いですね。
ただ、中には1ヶ月半や2ヶ月前など、より長期間の通知を求める規定が設けられている場合もあります。
そういう場合は、指定された期限までに通知しなければ、たとえ1ヶ月前に通知しても、退職日が遅れてしまうことがあります。
退職通知の期間は、通常、新しい人を探したり、引き継ぎをするために必要な時間を考慮して設定されています。
2ヶ月前という期限がある場合は、それだけ準備に時間がかかるということです。
長い通知期間が設けられている場合は、そのスケジュールに合わせて早めに申し出ると、スムーズに退職できるでしょう。
でも、「雇用契約書をどこにしまったかな…」「労働規則がどこにあるのかわからない」という時は、わざわざ確認する必要はありませんよ。そのことを聞き始めたら、「もしかして辞めたいの?」と思われてしまうかもしれませんから。
手元に資料がなくても、一般的には1ヶ月前に伝えれば大丈夫なことが多いです。特別な場合を除けば、これで問題なく対応できるはずですよ。
退職希望者が知っておくべき法律の基礎知識
法律では、退職を考える従業員が自分の意志を伝えた日から2週間後には、雇用関係を終了させることができると定めています。
これは、雇用契約に期間の定めがない場合に限り、どちらの当事者もいつでも契約を解除する意思表示ができるということ。そして、その解除の意思表示をした日から2週間が経過すると、雇用関係はそのまま終了するんです。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:e-Gov法令検索(民法第627条)
このルールは、「退職したいと思ったら2週間前までに伝えておけばOK」というわけですが、これは「雇用契約期間が特に定められていない場合」にのみ適用される点が大事です。
つまり、3ヶ月ごと、6ヶ月ごとに契約を更新するような場合では、このルールは当てはまらないんです。自分がどのタイプの契約を結んでいるのかは、こんな風に確認してみてください。
雇用契約期間の確認方法は、まず「雇用契約書」をチェック。
契約書に期間が明記されていれば、それは有期契約です。パートを始めた時や契約更新の際に契約書をもらっているはずなので、そこで確認できます。更新があるということ自体が、期間が定められている証拠にもなりますね。
雇用契約書がない、または契約が有期か無期かが不明な場合は、直接聞くのも少し気が引けるかもしれませんね。
でも、そんな時でも、一般的には1ヶ月前に退職の意向を伝えておけば、大体のケースには対応できると思いますよ。
契約期間が定められている場合の退職について
雇用契約書を見てみて、契約期間が設定されていることが分かったら、法律上は基本的にその期間内に退職することは認められていません。契約期間があるってことは、その期間は働くという約束をしているわけですから。
普通に考えたら、「仕事が合わないから」といった理由で、たとえ1ヶ月や2か月前に退職したいと言っても、契約期間内の退職は難しいんです。
でも、引越しなどのやむを得ない事情で契約期間が残っていても、それを理由にずっと働き続けるのは困りますよね。
そんな時には、雇用契約の期間を定めたとしても、やむを得ない事由があれば、どちらの当事者もすぐに契約を解除できるというルールがあります。この場合、解除の理由がどちらかの過失によるものであれば、相手方に損害賠償の責任が生じることも。
民法第628条によると、「やむを得ない理由があれば、すぐに契約を解除できる」と明記されています。
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
引用元:e-Gov法令検索(民法第628条)
これを知っておけば、もしもの時に役立つかもしれませんね。
どんな場合が「やむを得ない事由」にあたるのか?
「やむを得ない事由」というのは、状況によって異なりますが、以下の例が挙げられます。
- 病気や怪我で仕事を続けられなくなった場合
- 家族の介護や看護が必要になった場合
- 引越しで通勤が難しくなった場合
- 通勤手段の変更で通勤が困難になった場合(バスや電車の路線がなくなる、ダイヤが大きく変わるなど)
- 育児のため、仕事を続けることが難しい場合
- 実際の労働条件が契約時の内容と大きく異なる場合
これらは、一般的に「やむを得ない」と考えられる事由です。
つまり、もし急に仕事を辞める必要が生じたとしても、契約期間が残っているや、雇用契約書に「1ヶ月以上前に退職の意向を伝えること」と記載されていたとしても、法律上は「やむを得ない理由」があれば、速やかに退職することが可能になります。もちろん、実際の理由を伝えずに「やむを得ない理由」を述べるだけで、会社は退職を受け入れる必要があります。
しかし、いかなる理由であれ、いきなり仕事を辞めると告げると、職場に迷惑をかけてしまうことは確かです。また、急に「明日から来ない」と言われたら、会社も対応に困りますよね。
ですので、できれば1ヶ月前には退職の意志を伝え、トラブルを避けるためにも、退職を考えたら最初に上司に相談することが大切です。
「やむを得ない事由」以外で契約期間中の退職が可能な場合
「やむを得ない事由」以外にも、特定の条件下では契約期間中でも退職が許されるケースがあります。これには以下の法律が関係しています。
- 契約期間が1年以上あり、かつ契約開始から1年以上が経過している場合(労働基準法第137条)
- 勤続年数が5年を超える場合(民法第626条)
特に、契約期間が1年以上のケースに関しては、よく誤解されることがあります。ここで言う「1年以上の契約期間」とは、更新の累積期間ではなく、一度の更新で1年以上の期間があることを意味します。そして、契約開始から1年以上経過している必要があります。
例えば、
1年半の契約期間があり、契約開始から1年以上勤務している場合は、2週間前の通知で退職可能です。
しかし、1年ごとの更新契約で1年半勤務しても、最後の契約更新から半年しか経っていない場合は、このルールの適用を受けることはできません。
パートで1年以上の契約期間を設定している場合は少ないため、この特例が適用されることはほとんどないと思われます。
また、勤続年数が5年を超えている場合にも、契約期間中であっても退職が可能ですが、この規定は60歳以上の人には適用されない点に注意してください。
これらの特例はパートの多くには当てはまらないため、一般的には「やむを得ない事由による退職」が主なケースとなるでしょう。
パートをスムーズに辞める最適なタイミングって?
パートからの退職を考えたとき、誰もができるだけスムーズに、そしてトラブルなく辞めたいと思うものです。退職の意向を伝えた後の気まずさは、なるべく避けたいですよね。
そこで、パートを円満に辞めるための最適なタイミングについてご紹介します。
パートから退職するのに良いタイミングは、以下のような場面です。
- 契約の更新時
- シフトの提出時
- 忙しい時期が一段落した後
契約の更新時
もし契約が有期契約である場合、契約期間中の退職は基本的には避けた方がいいですね。しかし、契約更新のタイミングで、「次は更新しない」と選択することによって、契約が満了するタイミングで自然と退職することが可能になります。これが、もっともスムーズに退職できる方法と言えるでしょう。
退職を検討している場合は、契約期間の終了が近づいてきたら、そのタイミングで更新しない旨を伝えるのが良いですね。
ただ、何度も契約を更新していると、会社側が自動的に更新することもあり得ます。そのため、契約更新期間が近づいたら、積極的に「次回の契約更新は望まない」と伝えましょう。そうすることで、会社も次に向けて準備をすることができ、円満な退職へとつながります。
シフトの提出時
シフト制で働いている場合は、次のシフトを提出する際に退職の意向を伝えるといいでしょう。このタイミングなら、自然に退職の話を持ち出すことができます。
ただし、「次のシフトはもう出せないから退職したい」と直前で伝えるのは避け、次回のシフト提出の際には「これが最後のシフトになりたい」と事前に伝えることが望ましいです。そうすれば、約1ヶ月後の退職となり、職場も人員調整をするための準備が整います。
シフト制の仕事では、あなたがいなくなることで他のスタッフの負担が増えてしまうこともあります。そのため、できるだけ早めに、最低でも1ヶ月前には退職したいと伝えることが推奨されます。
繁忙期を過ぎたら退職のチャンス
パートの仕事にも、年間を通じて特に忙しい繁忙期があることが多いですよね。繁忙期直前に退職を申し出るのは、ちょっと周囲に配慮が足りないかもしれません。
特に、やむを得ない理由がなければ、そのようなタイミングで辞めるのは控えたほうが良いです。そうしないと、上司や同僚からの反感を買ってしまうこともあります。辞めることが了承されたとしても、最後の日々が気まずいものになりかねません。
しかし、繁忙期が終わった後は、人手が一時的に余っていることもあって、意外と退職しやすいタイミングだったりします。シフト制で働いているパートなら、この時期に人数調整のために退職してもらうことを歓迎する場合も少なくありません。
そのため、繁忙期が終わった直後に退職を申し出ると、比較的スムーズに辞めることができることが多いです。また、「次の繁忙期が終わったら辞めさせてください」と繁忙期前に伝えておくと、「繁忙期を手伝ってくれるなら」と安心して了承してもらえることもありますよ。
もし、これから忙しくなることが分かっているなら、その時期は避けて、繁忙期が終わった後か、もしくは繁忙期前に繁忙期後の退職希望を伝えるようにしましょう。
ただし、このようなタイミングを見計らうだけでなく、「いつなら退職しても大丈夫ですか?」と上司に確認しながら退職日を決めることで、余計なトラブルを避けることができます。お互いに気持ち良く手続きを進められるよう、退職を伝える際は、会社やお店の状況も考慮しながら話を進めると良いですね。
まとめ:退職を考えたら、早めの相談を
パートでも正社員と同様、職場には必要とされているわけですから、あなたが辞めることで生じる穴を最小限に抑えたいものです。円満にパートを辞めるためには、職場に迷惑をかけないように計画的に進めることが大切です。
パートを辞めることになったら、できるだけ早めに、最低でも一ヶ月前には上司に相談しましょう。急ぎで辞める必要がない場合は、退職日についても上司とよく話し合って決めるとスムーズです。
そうすることで、双方にとって納得のいく形で退職することが可能になります。社会人としてのマナーを守りながら、スムーズに、そして気持ち良く退職できるようにしましょう!