「引っ越しの挨拶はするべきか?しなくても良いのか?」という質問は、賃貸営業時代によく聞かれたものです。
結論を言うと、引っ越しの挨拶が必要な場合もあれば、逆に不要な場合もあります。では、具体的にどんな時に引っ越しの挨拶が不要なのか?そして、逆にどんな時に挨拶をするべきなのか?
今回は「引っ越しの挨拶をするか?しないか?」をケース別に詳しくご紹介します。
引っ越し挨拶をしないで大丈夫なケースとは!?
引っ越しの挨拶をしなくても大丈夫なケースは、主に「賃貸」の場合です。
現在では、賃貸物件で引っ越しの挨拶をすることは珍しくなっています。
ただし、賃貸でも挨拶をした方が良い場合もあるので、それぞれのケースを見ていきましょう。
初めての一人暮らし!引っ越しの挨拶はしなくて大丈夫?
初めての一人暮らしで引っ越し挨拶の必要性が分からないという方も多いでしょう。しかし、一人暮らしや同棲であれば、基本的に賃貸では引っ越し挨拶は不要です。
一人暮らしや同棲用の賃貸物件は「1R~1LDK」が多く、また大手が建設・管理している物件も多いです。私自身も大手の賃貸物件に10年以上住んでいましたが、引っ越しの挨拶をしたこともされたこともありませんでした。
夫婦で引っ越しの場合は挨拶した方がいい?
夫婦で引っ越した場合、物件によっては挨拶をした方が良い場合もあります。
ポイントは「物件による」という点です。
先ほど述べたように、大手が管理する物件であれば、引っ越し挨拶は不要です。
しかし、夫婦の場合「分譲賃貸」を借りることもあります。
分譲賃貸とは、マンションを購入した人が賃貸として部屋を貸している物件のことです。
このため、周囲にはマンションを購入した人たちが住んでおり、一般的な賃貸物件よりも管理ルールが厳しいことが多いです。
同じマンションの住民と関わる機会も多いため、分譲賃貸の場合は引っ越し挨拶をした方が良いでしょう。
一般的な賃貸物件、例えば大東建託などの場合は、一人暮らしと同様に引っ越し挨拶は不要です。
ファミリータイプの賃貸でも引っ越し挨拶はしない?
幼稚園や保育園くらいの小さな子供がいる家庭で、2LDKや3LDKなどのファミリータイプに引っ越した場合はどうでしょうか?
ファミリータイプの場合、近所にも同じように小さな子供がいる家庭が多いことが考えられます。
そんな場合は、引っ越しの挨拶をした方が良いかもしれません。
子供同士で遊ぶこともあるので、賃貸といえども周囲と関わることが増えるかもしれません。
ただし、わざわざ部屋を訪問して挨拶をする必要はありません。
顔を合わせたときに軽く挨拶をする程度でも十分です。
引っ越しの挨拶をした方が良いケースとは!?
すでに触れたように、分譲賃貸などの場合は引っ越し挨拶をした方が良いです。
特に「マイホーム購入」の際は引っ越し挨拶をすることが望ましいです。
マイホームを購入するということは、その地域に長く住むことを前提としています。
購入と賃貸では周りの住民の意識も違う!?
賃貸の場合、入居者の入れ替わりが頻繁なので、引っ越し挨拶をしなくても先に住んでいる人はあまり気にしません。
しかし、マイホームを購入した場合は話が違います。
すでにその地域に住んでいる人にとって、新しい住人は「長く関わるであろう人」となり、また先に住んでいる人にとっては「挨拶に来るのが礼儀」と考える人も少なくありません。
実際、私が分譲戸建てを購入した際、引っ越しの挨拶に回ったところ、近隣の方々が「挨拶に来ない人がいる」とこぼしていたので、引っ越し挨拶に伺って良かったと感じました。
ここで人間関係が悪くなると生活がしづらくなるため、マイホームを購入した際は引っ越し挨拶をした方が無難です。
また、戸建てにしろマンションにしろ「自治会(町内会)」や「管理組合」と関わることになります。
挨拶の際には、地域の情報収集も併せて行うと良いでしょう。
「自治会(町内会)」や「管理組合」とは?
自治会は地域の住民で構成された組織です。主に住民の交流や住みよい環境づくりのための助け合いを目的としています。
ここでいう管理組合とは「マンション管理組合」のことで、マンションの維持管理を目的とした組織です。
自治会は地域住民で構成され、加入は任意ですが、マンション管理組合は購入時に加入が義務付けられています。
任意加入の自治会では、会費の支払いのほか、夏祭りや運動会などのイベント準備、ゴミ出しの掃除当番などの役割が回ってきます。
そのため、「負担が大きい」と感じる人もいます。しかし、すぐに引っ越しできる賃貸とは違い、マイホームを購入した以上、その地域に長く住むことになります。
できるだけトラブルは避けたいものです。
挨拶をしないだけで近隣住民との関係が悪化することもあるため、マイホームを購入して引っ越しする際は、引っ越し挨拶をした方が良いでしょう。
自治会の非加入は認められる?裁判になった事例
「自治会には加入しないといけないの?」という質問はよくききます。
自治会への加入は基本的には任意ですが、トラブルに発展することもあります。
たとえば、自治会が会費を支払わない住民に対して「ゴミ捨て場の利用をさせない」とし、住民との間で裁判になった事例があります。
原則として、自治会への強制加入は違法とされています。
この事例でも、自治会への強制加入は違法と判断されました。
しかし、大阪高裁では「会費を払わないのにゴミ捨て場を利用するのはおかしい」との判断が下されました。
神戸地裁では「ゴミ捨て場の利用は行政サービスの一環であり、利用する権利がある」と判断されましたが、この場合、行政が管理するべきだという意見もあります。
まとめ
今回は「引っ越し挨拶をするか、しないか」をテーマにお話ししました。
賃貸営業の経験から言うと、賃貸物件では引っ越し挨拶をしないことが多いです。
特に大東建託やダイワリビングなどの大手物件では、挨拶をする必要はほとんどありません。
ただし、注意が必要なのは「分譲賃貸」の場合です。分譲マンションでは、他の入居者は購入者であり、管理組合の関係で顔を合わせる機会も多いため、両隣や階下の入居者には引っ越し挨拶をした方が良いかもしれません。
また、マイホームを購入した場合の引っ越し挨拶は、やっておいた方が無難です。
簡単に引っ越しできるわけでもないので、挨拶一つでトラブルを回避できるなら、やっておく方が賢明でしょう。
ただし、引っ越しの挨拶の仕方やタイミングには注意が必要です。
相手によっては、挨拶のタイミングや方法が悪いと不快に思われることもあるので、気を付けて行いましょう。