この3つの違いを簡単に説明すると、次のようになります。
- 殺菌:菌を完全に死滅させること。この表記は医薬品と医薬部外品にのみ許可されています。
- 除菌:菌を取り除き、その量を減少させること。表示するためには定められた基準があります。
- 抗菌:菌の増殖を抑制すること。表示する際には特定の規則に従う必要があります。
この記事では、これらの概念についてより詳細に解説していきます。
殺菌、除菌、抗菌それぞれの違いとは?
殺菌、除菌、抗菌はすべて細菌に影響を与え、物品を清潔に保つ共通目的がありますが、それぞれの方法は異なる特性を持っています。
効果の差異
これらの手段は、細菌に与える影響の程度によって区分されます。
効果の強さに応じて順位をつけると次のようになります。
- 殺菌
- 除菌
- 抗菌
殺菌の意味とは?
最も強力な効果を発揮する殺菌は、細菌を完全に消滅させることです。
更に上のレベルである「滅菌」は、完全無菌状態を作り出します。
殺菌の定義には、細菌をどれだけ消滅させる必要があるかの具体的な基準は定められていません。
このため、殺菌と滅菌が同じ意味合いで使われることもあります。
除菌の意味とは?
除菌とは、物理的あるいは化学的手段を用いて細菌を減らす行為を指します。
これは細菌を完璧に除去するものではなく、また細菌を直接殺すわけではありません。
注記:除菌においては、真菌類(カビや酵母を含む)は対象外です。
抗菌の意味とは?
抗菌とは、細菌の成長や増殖を制限することを意味します。
これは細菌を直接的に殺すことではなく、またその数を減少させることでもなく、単に増加を抑える効果を持ちます。
製品ごとの表示ルールの違い
これらの効果の違いに伴い、製品に表示できる内容も異なります。
- 医薬品:殺菌(許容)、除菌(部分的に許容)、抗菌(部分的に許容)
- 雑貨:殺菌(不可)、除菌(許容)、抗菌(許容)
医薬品や医薬部外品に「除菌」「抗菌」と表示することに対する特別な制限は存在しませんが、実際にはこれらの表記が医薬品で使用されることはあまりないようです。
「殺菌」表示の適用範囲
「殺菌」という言葉は、医薬品や医薬部外品にのみ使用されます。
注記:医薬品は医療用の薬品で、例えば消毒液がこれに該当します。
医薬部外品は、体への効果が穏やかな薬品で、薬用せっけんなどが含まれます。
「除菌」表示が可能な製品群
一方、「除菌」という用語は、洗剤や漂白剤、ウェットティッシュなどの日用品にも使用できます。
ただし、「除菌」を表示する製品は、洗剤・石けん公正取引協議会が設定する基準を満たす必要があります。
「抗菌」表示の許可されるアイテム
また、「抗菌」という表現は、繊維製品や衣類の柔軟剤などにも使われます。
さらに、日本工業規格(JIS「抗菌加工製品-抗菌性試験方法・抗菌効果」)においては、抗菌効果を確認するための試験方法が定められています。
まとめ
◆効果の段階的な比較
殺菌(細菌を完全に滅ぼす)> 除菌(細菌を取り除く)> 抗菌(細菌の増加を阻止)
◆表示に関する基準
- 殺菌:医薬品や医薬部外品に限定
- 除菌:洗剤や石けんに関する公正取引基準を適用
- 抗菌:日本工業規格(JIS)の基準を適用